大切なのはあなたのケミカル感 大切なのはあなたのケミカル感

NC社員の「ケミカルエピソード」

工程管理の基本は、本音のやりとり。
日本一、人当たりの良いネゴシエーター

中山典久の化学反応

中山典久
中山典久
(株)泉北スチールセンター 業務部
ショットブラスト加工の工程計画を立案し、現場の作業効率を最大化する工程管理を担う。顧客と現場がwin-winになるよう、現場の状況はもちろん、相手の性格まで掌握しつつ交渉をする姿は、まるで敏腕ネゴシエーター。おっちょこちょいな一面もあり、ベテランが多い現場からかわいがられている。

人対人の仕事だからこそ面白い

工程管理と言えど、その仕事は、事務室にこもって加工計画を練ることではない。中山は印刷された工程管理表を手に、「これはただのツール。実際に動いているのは人間です。だから、増して面白いんです」と話す。彼が何よりも大切にしているのは、コミュニケーションだ。

事務所の2階から階段を降りて50m先の現場まで、1日に10回は足を運ぶという。電話も無線もあるが、現場のメンバーと顔を付き合わせたほうが、話が早い。持ち前の人当たりの良さからか、彼が現場に入ると、男だらけの職場にもかかわらず和気あいあいとした空気が流れる。そこでの中山の愛称は「ぼっちゃん」。中山より年下だという現場の主任は、「面白い人です。ああ見えて41歳なんですよ。浪人生みたいに見えるでしょ」と笑い、上下関係を気にする様子もない。

中山典久

現場との見事なタッグで、顧客を満足させる

工場では、ライン投入からショットブラスト、塗装、乾燥、出荷まで、どこか一工程でも流れが滞ると全ての計画が狂ってしまう。そこを、繊細なコントロール力でトラブルなく回すのが、中山の腕の見せ所。顧客と綿密な打ち合わせをした上で、現場スタッフと細部を詰める。
しかし入社当初は、現場に気を遣うあまり「工程を組むのは自分の仕事だ」と一人で抱え込むことが多かったという。それが原因で加工漏れが出てしまい、顧客や現場に迷惑をかけたことも。現場に相談すると一発で解決し、「なんで言わなかった」と怒られた。それ以来、細かな調整が必要なケースでは必ず現場の意見を聞いている。包み隠さず率直に話せば、現場もそれに応えてくれる。その信頼関係が気持ちいい。最近ではあまりに現場に耳を傾けすぎて、「自分で考えろ!」とツッコまれることもしばしば。

中山典久
中山典久

顧客との関係もまた、信頼で成り立っている。ある時、緊急対応をした顧客が大阪市内から離れた当社にわざわざタクシーでやってきて、「あのときは助かった」と手土産を置き、すぐに立ち去って行ったという。「かっこいい人もいるもんですね」と話す中山だが、その関係をつくりあげたのは他ならぬ彼なのである。

中山典久
中山典久

現場で扱う鋼材は、重いものなら1トンを超える。「○○ジャンクション」「○○橋梁」といった工事名で受注が入り、高速道路や橋梁などの一部になるというから、なんともスケールが大きい。街を歩いている時に、見慣れた鋼材をふと目にすることもある。公共の道路や橋の建設に自分が携わっていることを改めて実感し、「社会のお役に立てている」とやりがいに満たされる瞬間だ。